葬儀の知識

知っておきたい!香典返しに添える挨拶状のマナー

香典

通夜や葬儀の際に香典を頂いたら、香典返しを贈るのが基本とされています。香典返しの品物を贈る際に、ちょっと気になるのが挨拶状のマナーです。挨拶状はどういったことに気をつければいいのかと迷っている方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、知っているようで知らない香典返しに添える挨拶状に関するマナーをわかりやすく解説してみます。どうぞ参考にしてみてください。

香典返しの挨拶状について

そもそも香典返しの品物を贈る意味とはどういったものでしょうか?ここでは香典返しや香典返しに挨拶状を添える意味などを解説します。

香典返しと挨拶状

葬儀には昔から大きなお金が必要であることから、お金を出し合って助け合うという精神から香典は始まりました。また香典は故人への供養と遺族への心遣いの意味も兼ね備えています。

この四十九日は忌中法要の最後の日にあたり、それまで彷徨っていた故人の魂の行先が決まる日とされていて、法要の中でも重要な位置づけがなされています。香典返しを贈ることは、頂いた心遣いに対しての感謝と無事に四十九日を終えましたという報告をも意味します。

香典返しを贈る時期は若干地方によっても違いはありますが、四十九日が過ぎた頃~一ヵ月以内に贈るのが基本です。その際に挨拶状を添えるのがマナーとされているのです。

挨拶文を送るタイミング

香典返しの挨拶状は、香典返しと一緒に送っても問題ありませんが、余裕があるなら香典返しの品物より先に、挨拶状が先方に届くようにすると、なおの事丁寧です。その場合の挨拶文には、いつ頃に品物が届きますといった内容を付け加えておくと、先方もその心づもりができ喜ばれます。

挨拶文を書く時に気をつけたいポイント

それでは香典返しの挨拶文を書く際には、具体的にどういったところに気をつければいいのでしょうか? 一般的な手紙の内容とは違って、香典返しの挨拶文には手紙の内容や、構成などにいくつかのマナーがあります。
 
故人に代わって香典を頂いた方に感謝を伝える挨拶文ですから、くれぐれも失礼にならないように挨拶文を作成したいものです。ここではいくつかの注意点を紹介します。

①挨拶状に使う紙について

香典返しの挨拶文に使われる紙として代表的なものを以下に紹介します。
 
・奉書紙
 
奉書紙とは、白い和紙で作られた紙の事です。この奉書紙は香典返しの挨拶文の他に、葬儀の際の弔辞を書く紙などに用いられます。室町時代では公文書として幕府が使っていたといわれるのが奉書紙で、最も高級な紙として扱われてきました。
 
奉書紙は手書きするのが一般的でしたが、時代の流れにより現在では印刷可能な奉書紙も販売されています。
 
 
・挨拶カード
 
香典返しの挨拶状には挨拶カードを用いても構いません。挨拶カードはいろんな種類のものが販売されています。香典返しの挨拶カードは白の無地でも構いませんが、香典返しの挨拶用として花があしらわれたデザインのカードなども喜ばれることでしょう。
 
 
・挨拶ハガキ
 
挨拶状には通常のハガキを使っても大丈夫です。香典返しの挨拶状にハガキを用いるメリットは何といってものその利便性にあります。文面も簡単にレイアウトができ、ネットでも申し込みができるので、忙しい方に適しているといえます。
 
その反面、略式のイメージがあるので、特にお世話になった方や、目上の方などに挨拶状を出す場合は奉書紙を使うなどといった使い分けをする方が良いでしょう。

②故人の名前の書き方について

香典返しの挨拶文を書く際に、故人との続柄を書くようにします。通常は故人のフルネームの上に「亡母」「亡祖父」というように関係性がわかるように記入します。続柄を示す語句の他に「故〇〇〇〇儀」と表す方法もあります。
 
挨拶状を出す人から見て、続柄を示す呼称は以下の通りです。
 
父    → 実父・亡父
母    → 実母・亡母
祖父 → 亡祖父
祖母 → 亡祖母
妻    → 妻・家内
夫    → 夫・主人
夫・妻の父 → 岳父・義父・父
夫・妻の母 → 義母・母

③使ってはいけない忌み言葉について

日本には忌み言葉といって冠婚葬祭の場面では使ってはいけないとされる言葉があります。この忌み言葉とは、言葉に宿るとされる力、言葉を発した通りに物事が運んでいくといわれる「言霊」(ことだま)というものを重んじてきた日本古来の風習によるマナーのひとつです。
 
忌み言葉として以下のような言葉があります。
 
〇不幸が重なるといわれる言葉
くれぐれも・いよいよ・重ね重ね・度々・かえすがえす・再々・またまた等
 
〇不幸を連想させる言葉
切れる・切る・去る・捨てる・散る・相次いで・衰える・憂い・壊れる・枯れる等

④句読点について

香典返しの挨拶文を書くときに気をつけたいのが、句読点の使用です。句読点を使わない理由として、かつては句読点を使わない毛筆での書状であったところから現在もこのスタイルとなっています。
 
また句読点は「止める」という意味があるので、葬式の儀式を滞りなく終えるとの意味も込められているともされています。香典返しの挨拶文には句読点は避けた方がよいです。句読点の代わりに空白(「、」の代わり)・改行(「。」の代わり)を使うようにしましょう。

⑤宗派・宗教によって異なる言葉使いについて

香典返しの挨拶状を書く5つ目のポイントとして、宗教・宗派があります。生死観が宗教・宗派によって違うので、宗教・宗派ごとに使ってはいけない言葉があります。
 
【仏教】
 
〇仏教における四十九日の呼び方……四十九日法要・忌明法要・満中陰法要(西日本)
 
〇仏教においてのNG言葉……「迷う」「浮かばれない」「ますます」「たびたび」等
 
〇浄土真宗においてのNG言葉……「冥福」
 
※ 仏教の中でも浄土真宗の死生観は他の宗派とは異なります。浄土真宗では、人は亡くなると即極楽浄土へ赴くと説いている為「ご冥福をお祈りします」といった表現はNGです。
 
 
【神道】
 
〇神道においてのNG言葉……「冥福」「成仏」「供養」「往生」「あの世」
 
〇神道における四十九日の呼び方……五十日蔡
 
 
【キリスト教】
 
〇キリスト教においてのNG言葉……「成仏」「冥福」「往生」「供養」「あの世」
 
〇キリスト教による四十九日の呼び方……「カトリック = 追悼ミサ」「プロテスタント = 記念集会」
 
 
<h3> ⑥直接香典返しを渡す場合について
 
個人情報に関する観点から葬儀場で参列された方に、その場で香典返しの品物を手渡しするケースが最近はよくみられます。その場合、挨拶状は不要なのですが、香典返しと一緒に挨拶状を手渡しすると感謝の気持ちがより伝わるものです。
 
故人が特にお世話になった方など、直接自宅を訪ねて、香典返しを手渡すという場面もあることでしょう。そうした場合には挨拶状は不要です。

挨拶文の例文(宗派別)

ここでは香典返しの挨拶状を宗教別にご紹介します。なお、香典返しの文章の大事なポイントは大きく分けて4つあります。
 
①会葬・香典を頂いたことへのお礼
②四十九日法要を無事に終えた報告
③香典返しを郵送した旨を伝える
④略式的である旨のお詫び
 
以上の4つを文章に必ず入れ香典返しの挨拶文を書くようにしましょう。それでは具体的な例文をご覧ください。

仏式

仏教における香典返しの挨拶状には、故人の戒名も記載することができます。また先述したように「供養」「成仏」などの言葉も使うことが可能です。

<例文>
 
謹啓
この度は  亡祖父〇〇〇〇の葬儀に際しましては  ご丁寧なご厚志を賜り  厚く御礼申し上げます
おかげをもちまして  この度〇〇〇〇〇(戒名)の四十九日法要を滞りなく相営みました
つきましては  供養のしるしに心ばかりのお品をお贈りいたしますので  何卒ご受納くださいますようお願い申し上げます
さっそく拝眉の上  御礼申し上げるべきところ  略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます
 
敬具
令和〇年〇〇月〇〇日
喪主  〇〇〇〇
親族一同

神道

次に、神道における香典返しの挨拶状の例文をご紹介します。神道の場合は四十九日法要のことを「五十日祭」といい、香典のことを「御玉串料」といいます。こうした言葉の違いに気をつけながら文章を作成しましょう。
 
<例文>
 
先般  亡妻〇〇〇〇の帰幽の際にはご多忙の折にもかかわりませず  御懇篤なるご弔慰と御尊重なる御玉串料を賜りまして暑く御礼申し上げます
おかげをもちまして  〇〇月〇〇日に五十日祭を滞りなく相済ませました
偲び草のしるしまでに心ばかりのお品をお届け申し上げましたので  何卒御受納くださいますよう御願い申し上げます
本来なら拝謁の上御礼申し上げるべきではありますが  略儀ながら書中にて御礼申し上げます
 
敬具
令和〇〇年〇〇月〇〇日
住所 〇〇府〇〇市〇〇〇〇
氏名 〇〇〇〇〇

キリスト教

キリスト教における香典返しの挨拶文です。カトリックでは葬儀のことを「帰天」といい、プロテクタントでは「昇天」といいます。
 
<例文>
 
拝啓
 
先般  亡祖母  〇〇〇〇  帰天に際しましては  ご繁忙の中に会葬を賜りかつ手厚きご弔慰と御尊重なるご献花を頂戴し 誠に有難く幾重にも御礼申し上げます
皆さまのおかげをもちまして  追悼ミサを滞りなく仕えさせて頂きました
偲び草のしるしまでに心ばかりの品をお贈りいたしますので  何卒御受納下さいますよう御願い申し上げます
就きましては早速拝眉親しく御礼申し上げるべきところ  略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます
 
敬具
令和 〇年〇〇月〇〇日
住所 〇〇県〇〇市〇〇〇〇
氏名 〇〇〇〇

無宗教

特定の宗教・宗派を持たない方の香典返しの挨拶文です。宗教に関わる言葉はなく、全体的に柔らかな言い回しとなっているのが特徴的です。
 
<例文>
 
拝啓
 
先般  亡夫 〇〇〇〇  永眠に際しましては多くのお心遣いと  お香典を賜り誠に有難うございました
生前  親しくかかわっていただいた皆様のおかげで  故人も最後まで日々を楽しく過ごすことができたことと思います
故人に成り代わり  心より御礼申し上げます
ささやかではございますが  感謝のしるしに心ばかりのお品を贈らせて頂きますので  御受納くださいますと幸いです
今後とも何卒変わらぬご厚誼をよろしくお願い申し上げます
 
敬具
令和 〇年〇〇月〇〇日
住所 〇〇〇〇〇
氏名 〇〇〇〇

封筒の書き方

挨拶状の文面が書けたら挨拶状を封筒に入れます。ここで大切なのは、ただ封筒に入れれば良いというものではなく、香典返しの挨拶状を入れる封筒には、書き方にもマナーがあるという事です。ここでは封筒の表書き・裏書き・入れ方をご紹介します。
 
なお、一般的には薄墨ではなく濃墨で書くようにしますが、地域によって異なることもあるので地域の方親戚の方々に確認してみることをおすすめします。また、使用する封筒は一枚ものを使用するようにしましょう。(二重ものの封筒だと不幸が重なることを意味する為)

封筒の表面の記入方法

封筒の表面・中央丈夫に「ご挨拶」もしくは「御礼」と記載

封筒の裏面

封筒の左下あたりに、郵便番号・住所・氏名(フルネーム)を記載
(ただし、既に挨拶状に記載してあれば、裏面の記載は不要)

封筒への入れ方

挨拶状の上部分が上に来るようにして三つ折り

香典返しにはどんなものがいい?

最後に香典返しに適した品物をご紹介します。香典返しには使って消えてしまうものが良いとされています。これは不祝儀を残さないといった意味が込められています。ただし生臭もの(肉・魚・鶏)や、喜びごとに使われる昆布・鰹節は香典返しに不向きとされています。
 
<香典返しに適している品物>
お茶・コーヒー・海苔・焼き海苔・石鹸・タオル・洗剤・商品券・カタログギフト等うにして三つ折り

まとめ

いかがでしたでしょうか? 香典返しの挨拶状といっても日本ならではの細やかな配慮を重んじたマナーがありましたね。こうしたマナーや気配りをちょっと知っておくことで、いざという時に役に立ちます。ぜひ参考にしてみてください。

カテゴリ:お葬式のマナー

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