葬儀の知識

受給額が知りたい!遺族年金の申請方法や疑問も解説

一家の家計を支えてくれていた家族がもし急に亡くなってしまったら、残された家族にとって生計を維持することは大きな問題となります。日本ではそうした残された家族が困らないように遺族年金という制度を設けています。

こうした制度で多くの遺族が助かっていますが、年金制度を受給するにはいくつかの条件を満たしていることが必要です。また遺族年金を受け取るまでの申請や手続き方法がわかりにくくて、困っている方が多いのも現状です。

そこで今回は、遺族年金の種類や受給要件、受給額、遺族年金の手続き方法、また遺族年金に関する気になる疑問点などわかりやすく解説していきます。その他に利用できる遺族対象の支給金制度もご紹介しますので、どうぞ参考にしてください。

遺族年金の種類

はじめに、遺族年金にはどういった種類があるのかをご説明していきたいと思います。遺族年金の種類には「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」「遺族補償年金」の3つがあり、それぞれ申請する窓口や申請方法は異なります。まずは対象となる方の年金がどの種類にあたるかをご確認下さい。

遺族基礎年金

遺族基礎年金とは、国民年金に加入していた方が死亡した場合や老齢基礎年金の資格期間を満了していた方が死亡した場合に、その加入者によって生計を維持されていた遺族に受給される遺族年金となります。

この遺族基礎年金は、自営業を行っている方や会社勤務していないフリーランスの方などが主な対象者となります。国民年金加入者が受給できるのは遺族基礎年金のみになります。

遺族厚生年金

遺族厚生年金とは、厚生年金に加入していた方が死亡した場合に、その加入者によって生計を維持されていた遺族に受給される遺族年金となります。この遺族厚生年金の中は、国民年金の保険料も含まれています。

ですから遺族厚生年金受給者は、厚生年金のみならず遺族基礎年金分も併せて給付される可能性があり、遺族基礎年金に比べると手厚い受給となります。

遺族補償年金

労働者災害補償保険ともいい、死亡した方が業務中に亡くなった時や通勤途中で亡くなった場合に、労働災害と認められることで労災保険に加入していた故人の収入で生計を維持されていた家族が受給できる遺族年金です。

遺族年金の死亡者の受給要件

遺族基礎年金・遺族厚生年金・遺族補償年金を受給するには、2つの異なる要件があります。“死亡者の要件” と “遺族の要件” です。ここでは死亡者の受給要件を遺族年金の種類ごとにご紹介しましょう。

遺族基礎年金の死亡者の要件

遺族基礎年金の死亡者の要件は、下記要件のいずれかを満たす方と定められています。
 
1)国民年金に加入中に死亡した方
2)国民年金に加入していた方で、死亡日に日本国内に住所を有し、かつ60歳以上65歳未満の方
3)老齢基礎年金の受給権者
4)老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある方(受給期間を満たした方)

 
※ なお、1)または 2)に当てはまる場合には、加入期間の納付保険料が3分の2以上であること。(保険料免除期間も認められる)
 
※ 死亡した日が令和8年3月末日までで、死亡者が65歳未満の場合は、死亡日の前々日までの直近1年間に保険料の滞納が認められなければ対象者。
 
※  死亡者が家族の生活を支えていた

遺族厚生年金の死亡者の要件

遺族厚生年金の死亡者の要件は、下記要件のいずれかを満たす方と定められています。
 
1)厚生年金に加入中に死亡した方
2)厚生年金加入中に初診日のある傷病で初診日から5年以内に亡くなった方
3)老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある方(受給期間を満たした方)
4)1級、2級の障害厚生(救済)年金を受けられる方

 
 
※ なお、1)または 2)に当てはまる場合には、加入期間の納付保険料が3分の2以上であること。(保険料免除期間も認められる)
 
※ 死亡した日が令和8年3月末日までで、死亡者が65歳未満の場合は、死亡日の前々日までの直近1年間に保険料の滞納が認められなければ対象者。

遺族補償年金の死亡者の要件

・業務災害もしくは通勤災害のいずれかに該当すること
 
※業務災害 = 業務により生じた災害のこと
 
※通勤災害 = 通勤途中で生じた災害のこと(会社に提出している通勤経路以外の手段で通勤した場合は、通勤災害と認められない場合がある。)

遺族年金の受給者の要件

次に遺族基礎年金・遺族厚生年金・遺族補償年金を受給するのに必要な2つ目の “遺族の要件” を解説します。ここでも遺族年金の種類ごとに詳しくご紹介します。

遺族基礎年金

遺族基礎年金の受給者の要件は、下記のように定められています。
 
1)死亡した方の収入で生計が維持されていた、子供のいる配偶者
2)死亡した方の収入で生計を維持されていた子供

 
※ 受給側の年収は850万円未満であること、もしくは年間所得が655万円5000円未満であることが条件。
 
※ ここでいう「子供」とは、18歳になって最初に迎える3月末までの方が対象。(但し、子供が障害者1級・2級の場合は20歳まで。)

遺族厚生年金

遺族厚生年金の受給者の要件は、死亡した方によって生計を維持されていた家族のうち、下記の方と定められています。
 
第一順位 
① 妻 (但し、妻が30歳未満で子供がいない場合は、5年間の支給のみ。)
② 夫 (但し、妻の死亡時に55歳以上であること。夫の受給は60歳からとなる。)
③ 子供(18歳になって最初に迎える3月末までの方が対象。但し、障害者1級・2級の場合は20歳まで。)
 
第二順位
④父母(但し、死亡時に55歳以上であること。父母の受給は60歳からとなる。)
 
第三順位
⑤孫(18歳になって最初に迎える3月末までの方が対象。但し、障害者1級・2級の場合は20歳まで。)
 
第四順位
⑥祖父母(但し、死亡時に55歳以上であること。父母の受給は60歳からとなる。)
 
※ 要件を満たす対象者のうち、順位が高い家族1名のみが受給できます。

※ 子供がいる配偶者と子供は、遺族基礎年金も受給可能。
 
※ 遺族基礎年金受給対象となる子供がいる配偶者には性別の区別がありませんが、遺族厚生年金受給対象者の配偶者には要件に違いがあるので、注意が必要です。

遺族補償年金

遺族補償年金の受給者の要件は、死亡した方によって生計を維持されていた家族のうち、下記の順位の高い方から1名と定められています。
 
①妻・夫(夫の場合60歳以上または障害者。)
②子供(18歳になって最初に迎える3月末まで。もしくは障害者。)
③父母(60歳以上もしくは障害者である。)
④孫(18歳になって最初に迎える3月末まで。もしくは障害者。)
⑤祖父母(60歳以上もしくは障害者である。)
⑥兄弟姉妹(18歳になって最初に迎える3月末まで。もしくは障害者。)
⑦夫(55歳以上60歳未満である。)

遺族年金の受け取り金額

それでは一番気になるところの遺族年金の受給額について解説します。

遺族基礎年金

遺族基礎年金の受け取り金額は、年間781,900円が基本額です(令和3年4月より)。子供がいる配偶者が受給する場合、この基本額に加えて子供の加算額が給付されます。子供が受給する場合は、基本額に加えて2人目以降の子の加算額が給付されます。
 
1人目及び2人目の子の加算額=それぞれ224,700円
3人目以降の子の加算額=それぞれ74,900円

遺族厚生年金

遺族厚生年金の受け取り金額は、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4の額と定められています。
 
報酬比例部分とは以下の ① + ② のことをいいます。
 
①平成15年3月以前の加入期間
平均標準報酬月額 × 7.125 / 1000 × 平成15年3月までの加入期間の月数
 
②平成15年4月以降の加入期間
平均標準報酬月額 × 5.481 / 1000 × 平成15年4月までの加入期間の月数

 
※ 加入期間が300月未満の場合は、300月として換算。
 
※配偶者で65歳以上の方の受給の場合、“死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4”と、“死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の1/2 + 自分の老齢厚生年金の1/2の額”を比較し、金額の高い方を受給することができます。

遺族補償年金

遺族補償年金の受け取り額は、受給資格のある遺族の人数・死亡した方の給与の額によって変わります。なお、給与基礎額は直近3か月の給与を日割り計算して算出します。また、支給額にかかわらず一律300万円の遺族特別支給金が支給されます。

年金を申請する手順

次に年金受給の為の申請方法を解説します。ちなみに以下のどの種類の遺族年金も、申請が通り受給が決定すると2か月に一回、2ケ月分まとめての支給となります。

遺族基礎年金

・居住地域の市区町村役場・年金事務所・年金相談センターで申請書類を貰い、必要事項を記入して提出する。
 
・申請に必要なもの
年金手帳・戸籍謄本・死亡診断書のコピーもしくは、死亡届の記載事項証明書・申請者本人の名義である振込先金融機関の通帳・印鑑等。交通事故等で、第三者による死亡原因の場合は、事故証明・損害賠償金の算定書も提出。

遺族厚生年金

・年金事務所もしくは年金相談センターで申請書類を貰い、必要事項、死亡した方の年金加入歴等を記入して提出する。(遺族基礎年金とは違って市区町村役場では扱っていないので注意。)
 
・申請に必要なもの
年金手帳・戸籍謄本・死亡診断書のコピーもしくは、死亡届の記載事項証明書・申請者本人の名義である振込先金融機関の通帳・印鑑等。交通事故等で、第三者による死亡原因の場合は、事故証明・損害賠償金の算定書も提出。

遺族補償年金

・労働基準監督署にて“遺族補償年金支給請求書”または、“遺族年金支給請求書”を貰い、必要事項を記入し労働基準監督署長に提出する。
 
・申請に必要なもの
死亡診断書・死体検案書・戸籍謄本・被災労働者により生計を維持していた証明書類等。

遺族年金に関する疑問や知識

ここではその他に、遺族年金に関する疑問などを解説していきます。

遺族年金に税金はかかる?

遺族年金に税金はかかりません。(遺族年金以外の収入には税金がかかります。)

遺族年金の請求期限は?

請求に期限はありませんが、遺族年金の受け取り分には申請時から遡って5年という期限があります。加入者が亡くなって10年経ってから申請しても受け取れるのは5年分のみとなります。

支給対象月はいつから?

死亡した次の月からが支給対象となります。仮に審査に時間がかかってしまったとしても、支給が決定されると支給対象分がまとめて支給されます。また死亡者が老齢年金を受給していた場合は、亡くなった月も支給対象となります。

審査結果に不服がある場合は?

申請結果を知った翌日から3か月以内に、地方厚生局内の社会保険審査官に申し立てすることができます。それでも不服が生じた時は、厚生労働省内の社会保険審査会に申し立てすることができます。

離婚した後に夫が死亡。妻は遺族年金を受け取れる?

当然ながら、この場合は遺族年金を受け取ることができません。但し、子供がいる場合は子供が遺族年金を受給できる場合があります。

その他の遺族対象の支給制度

上記の遺族年金以外にも、以下のような遺族対象の支給制度があります。

死亡一時金

死亡者が国民年金に加入していて、36ヶ月以上の保険料を納めていることが条件ですが、死亡一時金が支給されます。受取期限が死亡した翌日から2年間となっています。

寡婦年金

死亡者(夫)が10年以上国民年金料を納めていた妻が受給できる年金です。(妻との婚姻関係が10年以上であること。)
 
※ 死亡一時金と寡婦年金の両方を受給することはできません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?遺族年金の受給にはいろんな要件がありましたが、大黒柱をいきなり失ってしまった家族にとって、遺族年金制度はとても有難い制度の一つです。いざという時の転ばぬ先の杖として、今回の記事を参考にして頂ければ幸いです。

カテゴリ:お葬式のマナー

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